新会社で融資を受けるとき、銀行に説明する3つのこと

新しく作った会社には、決算書がありません。銀行は、過去の実績で判断することができません。そのため、新会社の融資では、事業計画の中身と、それをどう説明するかが結果を左右します。
先日、事業を分けて新会社を設立された経営者の方と一緒に、銀行を訪問しました。この記事では、そのときに説明した3つのことをご紹介します。新会社の設立や、新しい事業への進出を考えている方の参考になれば幸いです。
守秘義務の観点から、お客様が特定されないよう内容を一部加工しています。
新会社の融資は、なぜ難しいか
理由は2つあります。
決算書がないので、銀行は実績で判断できません。判断の材料は、事業計画と、経営者ご本人です。
事業を分けて作った会社の場合、もとの会社との関係が見えにくくなります。なぜ分けたのか、お金や取引がどう流れるのかを、銀行は気にします。
銀行は、新会社だけを見ているわけではありません。もとの会社と社長ご自身を含めた、全体を見ています。
銀行を訪問する前にしたこと
今回は、銀行へ行く前に、次の2つを行いました。
もとの事業と新しい事業の、それぞれの役割を整理する
中期の事業計画を、ゼロから作り直す
事業を分けると、これまでの計画はそのままでは使えません。どちらの会社が何を担い、どこで利益を出すのかを決め直してから、数字に落とし込みました。
なお、事業の分け方には、会社分割や事業譲渡などの方法があり、税金や許認可の扱いが変わります。方法を決める前の段階で、ご相談いただくのが安全です。
銀行に説明した3つのこと
1. なぜ今、この事業なのか
最初に説明したのは、事業を始める理由と時期です。
お客様や市場に、どんな変化が起きているのか
自社のどの強みを活かせるのか
なぜ、もとの会社の一部門ではなく、別の会社にするのか
「やりたいから」ではなく、「今やる理由がある」ことを、事実で示します。
2. どう収益化していくのか
次に、利益が出るまでの道筋です。
誰に、何を、いくらで、どれだけ売るのか
費用はいくらかかり、いつ黒字になるのか
借りたお金を、何から返すのか
計画どおりに進まなかった場合は、どうするのか
銀行が知りたいのは、売上の大きさよりも、その根拠です。うまくいかない場合の備えまで話せると、計画への信頼が上がります。
3. グループ全体としての将来像
3つ目は、会社が2つになったあとの全体像です。
もとの会社と新会社は、それぞれ何を担うのか
2つの会社の間で、お金と取引はどう流れるのか
数年後に、グループをどんな形にしたいのか
今回は、持株会社(ホールディングス)の形にすることも視野に入れて、将来の体制をお話ししました。
数字だけでなく、社長の言葉で伝える
銀行への訪問には私も同行しましたが、説明の中心は社長ご自身です。計画の数字は私たちが一緒に組み立てます。けれども、なぜこの事業をやるのか、どこまでやり抜くつもりなのかは、社長の言葉でなければ伝わりません。
今回の訪問では、数字だけでなく、構想と覚悟まで伝わった手応えがありました。銀行の反応も良好でした。
「融資のための計画」にしない
事業計画は、融資を受けるためだけに作るものではありません。経営の判断に使えるものにすることが大切です。
融資が決まったあとも、毎月の実績を計画と比べ、ずれがあれば原因を確かめて手を打ちます。そうして使い続ける計画であれば、銀行への説明にも、そのまま使えます。
まとめ
新会社には決算書がないので、銀行は事業計画と経営者で判断します。
説明するのは、なぜ今この事業なのか、どう収益化するのか、グループ全体の将来像の3つです。
計画は、融資のためではなく、経営の判断に使うために作ります。
「新しい事業を始めたいが、銀行にどう説明すればよいか分からない」という方は、当事務所の無料相談をご利用ください。ほかの税理士に顧問を依頼されている方からのご相談も受け付けています。
この記事は、一般的な考え方の説明です。必要な書類や審査の内容は、金融機関や融資の制度によって異なります。
この記事は、2026年2月2日に Facebook へ投稿した内容を、ブログ用に書き直したものです。
この記事を書いた人
松本 裕之(税理士)
松本裕之税理士事務所(広島市中区)代表。中国税理士会所属、税理士登録番号 第104810号。一般社団法人融資コンサルタント協会認定 SP融資コンサルタント。2006年に税理士登録、2013年に開業。税務顧問のほか、月次決算と経営計画、融資支援、国際税務、事業承継を扱っています。

