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大きな設備投資をしても大丈夫か|資金別貸借対照表で確かめる3つのこと

執筆者の写真: 松本 裕之
松本 裕之
2025年3月25日
読了時間: 4分

更新日:2 日前

利益は出ているのに、なぜかお金が残らない。大きな設備投資をしても大丈夫なのか、決算書を見ても分からない。そんなときに役に立つのが、資金別貸借対照表です。


先日、顧問先の社長と、月次決算書をもとに経営会議を行いました。大きな設備投資を予定されていたので、資金別貸借対照表を使って、財務の状態を一緒に確かめました。会議のあと、「大きな投資をしても大丈夫なことがわかって安心した。ありがとうございます。」と言っていただきました。


この記事では、資金別貸借対照表とは何か、大きな設備投資の前にどこを確かめるのかを、図を使ってご紹介します。守秘義務の観点から、お客様が特定されないよう内容を一部加工しています。


資金別貸借対照表とは

ふつうの貸借対照表は、資産と負債を並べた表です。会社の財産の状態は分かります。ただ、お金がなぜ増えたのか、なぜ減ったのかは読み取りにくい表です。


資金別貸借対照表は、貸借対照表の中身を、お金の性質ごとに4つに分けて並べ直した表です。4つを合計すると、現金と預金の残高に一致します。いまある現預金が、どこから生まれたお金なのかが分かります。


お金を4つに分けて見る

1. 損益資金

創業から積み上げてきた利益によるお金です。会社が自分で稼いだお金にあたります。


2. 固定資金

長期の借入金や資本金で集めたお金から、建物・機械・土地などに使ったお金を引いたものです。設備への投資が、長く使えるお金でまかなえているかが分かります。


3. 売上仕入資金

買掛金のように仕入先への支払いを待ってもらっているお金から、売掛金のように得意先からの入金を待っているお金を引いたものです。回収と支払いの時期の差が表れます。


4. 流動資金

短期の借入金、未払金、預り金など、短い期間で動くお金です。


1から3までの合計を「安定資金」と呼びます。安定資金がマイナスの会社は、短期の借入や未払金に頼ってお金を回している状態です。


設備投資の前と後を、図で比べる

資金別貸借対照表のイメージ図。5,000万円の設備投資の前と後で、損益資金・固定資金・売上仕入資金・安定資金・流動資金・現預金がどう変わるかを比べたもの。固定資金、安定資金、現預金がそれぞれ1,000万円減る。

5,000万円の設備投資を、長期の借入4,000万円と、手元のお金1,000万円でまかなう場合の例です。数字は架空のものです。


  • 固定資金:マイナス2,500万円から、マイナス3,500万円へ。手元のお金でまかなった1,000万円の分だけ減ります。

  • 安定資金:3,000万円から、2,000万円へ。

  • 現預金:3,500万円から、2,500万円へ。


損益資金、売上仕入資金、流動資金は変わりません。設備投資をすると、どの資金がどれだけ動くのかが、ひと目で分かります。


大きな設備投資の前に確かめる3つのこと

設備投資とは、建物、機械、車両など、長く使うものにお金を使うことです。金額が大きく、あとから取り消せないので、事前の確認が大切です。


1. 損益資金は増えているか

設備のために借りたお金は、これからの利益で返します。損益資金が毎年増えている会社は、返済の元手を自分で作れています。


増えていない場合は、設備投資の前に、利益の出し方を見直します。


2. 設備投資のあと、固定資金はどうなるか

設備は、長い年月をかけてお金を生みます。ですから、長期の借入金や、これまでに積み上げた利益でまかなうのが基本です。


短期の借入や、手元の運転資金で設備を買うと、資金繰りが苦しくなります。投資の金額と借入の金額を表に入れて、固定資金がどう変わるかを確かめます。


3. 設備投資のあと、現預金はいくら残るか

4つの資金を合計すると、設備投資をしたあとの現預金の残高が出ます。毎月の支払いに対して、何か月分が残るのかを確かめます。


足りない場合は、借入の金額や期間、投資の時期を見直します。


「安心した」と言っていただけた理由

大きな設備投資の前に経営者が不安になるのは、投資をしたあとのお金の状態が見えないからです。今回の経営会議では、資金別貸借対照表を見ながら、いまの財務の状態と、設備投資をしたあとの見通しを一緒に確かめました。


数字で確かめると、漠然とした不安は、「ここまでは大丈夫」「ここからは注意が要る」という具体的な判断に変わります。この仕事のやりがいを感じる場面です。


まとめ

  • 資金別貸借対照表は、現預金がどこから生まれたお金かを、4つに分けて見る表です。

  • 大きな設備投資の前には、損益資金が増えているか、固定資金がどう変わるか、現預金がいくら残るかを確かめます。

  • 数字で確かめると、不安は具体的な判断に変わります。


当事務所の月次決算書には、資金別貸借対照表が入っています。月次決算書を使った経営会議については、未来会計コンサルティングのページをご覧ください。


「大きな設備投資を考えているが、お金が足りるか不安だ」という方は、当事務所の無料相談をご利用ください。


この記事は、一般的な考え方の説明です。資金別貸借対照表の区分のしかたは、作成する事務所やソフトによって少し異なります。


この記事は、2025年3月25日に Facebook へ投稿した内容をもとに、ブログ用に書き直したものです。


この記事を書いた人

松本 裕之(税理士)

松本裕之税理士事務所(広島市中区)代表。中国税理士会所属、税理士登録番号 第104810号。2006年に税理士登録、2013年に開業。税務顧問のほか、月次決算と経営計画、融資支援、国際税務、事業承継を扱っています。

 
 

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