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�税理士 松本裕之(松本裕之税理士事務所・広島市中区)

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海外に財産がある方の相続|米国のプロベートと日本の相続税の期限

執筆者の写真: 松本 裕之
松本 裕之
8 時間前
読了時間: 5分

ハワイの海を望む別荘。若いころ米国で働いていたときに開いた銀行口座。ロサンゼルスで家庭を築いたお子さん。


海の向こうに財産や家族がある方にとって、相続や帰国は、日本の手続きだけでは終わらないことがあります。しかも、それに気づくのは、相続が始まってからということも少なくありません。


先日、大阪で開かれた日米の国際税務の勉強会に参加しました。会場には、ハワイやロサンゼルスから来られた米国の会計士や弁護士、現地の銀行の方、そして各地の税理士。朝から夕方まで丸一日、教科書には載っていない実務の話が行き交いました。


この記事では、そこで伺った話を手がかりに、米国に財産がある方の相続と帰国について、日本の側から見ておきたいことをまとめてみます。


米国の財産は、相続人に届くまで時間がかかることがある

米国では、亡くなった方の財産を相続人に引き継ぐとき、現地の裁判所の手続きを経なければならないことがあります。「プロベート」と呼ばれるものです。


この手続きが必要になると、財産が相続人の手元に届くまでに、1年以上かかることもある。勉強会では、そう伺いました。


しかも手続きは州ごとに定められていて、財産のある州で進めることになります。日本に暮らすご家族だけで進めるのは難しく、現地の弁護士などに頼むのが一般的です。


日本の相続税の期限は、現地の手続きを待ってくれない

一方、日本の相続税には、はっきりとした期限があります。相続があったことを知った日の翌日から10か月。この間に申告を済ませ、税金を納めなければなりません。日本に住む方が亡くなった場合は、海外にある財産も、その計算に含まれます。


米国のプロベートがまだ続いていても、期限が延びることはありません。手元に届いてもいない財産の分まで含めて、先に相続税を納める。そんなことが起こりうるのです。


納税資金を前もって考えておく

だからこそ、海外の財産が多い方ほど、日本の相続税を納めるお金をどこから用意するのか、前もって考えておきたいところです。財産の一覧、おおよその相続税、そして納税に充てるお金。この三つを生前のうちに整理しておくだけで、残されたご家族の慌ただしさは、ずいぶん和らぐはずです。


米国で税金がかかる場合

米国にある不動産などには、米国の遺産税がかかることもあります。同じ財産に日米の両方から税金がかかる負担を和らげるため、日本の相続税には、外国で納めた相続税に当たる税金を差し引く仕組み(在外財産に対する相続税額の控除)が用意されています。もっとも、米国側の税金がどうなるかは、現地の専門家に確かめる必要があります。


生前信託や受取人の指定で、現地の手続きを避ける方法

では、プロベートは避けられないのか。そうとは限りません。生前信託(リビングトラスト)を作っておく。口座に受取人を指定しておく。こうした備えで、現地の手続きを通らずに財産を引き継げることもあります。


ただし、ここには落とし穴があります。日本の税務では、信託にしたからといって、財産の扱いが変わるわけではないのです。財産は個人(受益者)のものとして扱われ、相続税や贈与税の対象になります。受取人を指定した口座の財産も同じこと。現地の手続きが軽くなることと、日本の税金が軽くなることは、まったく別の話です。


信託を作るとき、受取人を決めるときは、米国の専門家と日本の税理士、その両方に確かめてから進めてください。


米国から日本へ戻る方は、日米の両方で申告や報告が関わる

米国での暮らしを終えて、日本へ戻る。人生の大きな節目ですが、税金の面でも、帰国の前後には日米の両方で申告や財産の報告がついて回ります。


たとえば日本では、12月31日の時点で海外の財産が5,000万円を超えていれば、翌年6月30日までに国外財産調書を出す必要があります。米国の市民権やグリーンカードを持ったまま日本で暮らす場合には、米国での申告が続くこともあります。


帰国が決まったら、どうか早めにご相談ください。いつ、どちらの国で、何を出すのか。一つひとつ、一緒に整理していきましょう。


日本の申告と米国の手続きを、早めに合わせておく

日本の申告と米国の手続きは、進む時期も、根っこにある考え方も違います。早いうちに双方の専門家が情報を突き合わせておく。それだけで、ご家族にかかる負担は、大きく変わってきます。


今回の勉強会で何より大きかったのは、現地の専門家の方々と直接言葉を交わせたことでした。いざというとき、すぐに相談できる顔の見える関係。それを深められたことが、一番の収穫です。


思えば、私が国際税務に関わるようになったきっかけは、勤務時代に担当した、海外展開をしている上場企業でした。いまは会社の経営や資金面のご支援に加え、海外とつながりのある法人や個人の方のご相談にも乗っています。


当事務所がお答えするのは、日本の税務です。米国の税務や法律の手続きは現地の専門家と手を携え、日本側の手続きを整えていきます。お手伝いの内容は、国際税務のページと相続税申告のページでご紹介しています。


海外の資産や相続、帰国のご予定。気がかりなことがあれば、早めに声をかけてください。はじめてのご相談は無料です(来所またはZoom)。英語でのご相談にも、もちろん応じています。



この記事は一般的な説明で、2026年10月時点の日本の制度に基づいています。実際の税金や手続きは、財産の内容やお住まいの国、市民権や在留資格によって変わります。


この記事を書いた人

松本 裕之(税理士)

松本裕之税理士事務所(広島市中区)代表。中国税理士会所属、税理士登録番号 第104810号。2006年に税理士登録、2013年に開業。税務顧問のほか、月次決算と経営計画、融資支援、相続税申告と事業承継、国際税務(日本の税務。英語にも対応)を扱っています。

 
 

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