中小企業の中期経営計画の作り方|方針と数字の両輪で考える

経営計画というと、数字が並んだ表を思い浮かべる方が多いと思います。売上を毎年何パーセント伸ばすか、という表です。
先日、顧問先の社長と一緒に、中期の経営計画を作りました。これまでの事業を見つめ直し、これから始める新しい事業の形を、時間をかけて話し合いました。社長からは、「未来を描くって、こんなに楽しいことなんですね」という言葉をいただきました。
この記事では、私が考える経営計画と、その作り方をご紹介します。守秘義務の観点から、お客様が特定されないよう内容を一部加工しています。
経営計画は、方針と数字の両輪
私の考える経営計画は、数字の計画だけではありません。方針と数字の両輪がそろって、はじめて本当の計画と言えます。
方針の輪:何をするのか。何をしないのか。
数字の輪:その結果、売上や利益、お金がどうなるのか。
数字だけの計画は、手が止まります。売上を「前年の110パーセント」と入れても、何をして伸ばすのかが決まっていないからです。根拠のない数字は、社長ご自身が信じられません。信じられない計画は、作っても使われなくなります。
方針だけでも足りません。やりたいことが決まっても、お金が続くのか、利益が出るのかが分からなければ、前に進めません。
方針とは、戦略と戦術
方針は、戦略と戦術でできています。
戦略とは、何を捨て、何を生かすか。何に尖っていくか。これを決めることです。
会社の人も、お金も、時間も限られています。すべてをやろうとすると、どれも中途半端になります。だから、捨てるものを決めます。そして、生かすものに力を集め、尖らせていきます。
戦術とは、決めた戦略を実行する、具体的なやり方です。誰が、いつまでに、どうやって進めるのかを決めます。
前提にあるのは、社長が何をしたいか
方針にも数字にも、前提があります。社長が、この世で何をしたいのか。何をもって貢献したいのか、です。
ここがはっきりしていないと、何を捨て、何を生かすかを決められません。迷ったときに立ち返る場所がないからです。
経営計画は、数字を作る作業である前に、経営者の想いを言葉にして、形にしていく作業です。
中期経営計画を作る5つの順番
中期経営計画は、3年から5年先の会社の姿と、そこまでの道筋を決めるものです。次の順番で作ります。
1. 社長が何をしたいかを、言葉にする
この世で何をしたいのか。何をもって貢献したいのか。社長の頭の中にあるものを、質問を重ねながら、一緒に言葉にしていきます。
ここがいちばん時間のかかるところです。
2. これまでの事業を見つめ直す
どのお客様に、何を提供して、どこで利益が出ているのか。うまくいっていることと、そうでないことを整理します。
長く続けてきた事業ほど、当たり前になっていて、言葉にしたことがないものです。
3. 方針を決める
何を捨て、何を生かすか。何に尖っていくか。戦略を決めます。続けて、それを実行する戦術を決めます。
4. 方針を、数字にする
やることが決まれば、数字が作れます。売上、粗利益、人件費などの固定費、利益。必要な人や設備、借入の返済も入れます。
方針から作った数字には、根拠があります。金融機関や社員に説明するときにも、そのまま使えます。
5. 毎月、計画と実績を比べる
計画は、作って終わりではありません。毎月の数字と比べて、ずれがあれば理由を確かめ、次の手を考えます。
計画どおりにいかないのは、ふつうのことです。大切なのは、ずれに早く気づくことです。
「未来を描くのは、楽しい」
日々の仕事の中では、目の前のことに追われて、先のことを考える時間が取れません。時間を取って、これからの会社の姿を言葉にしていくと、やりたいことがはっきりしてきます。
冒頭の社長の言葉は、その時間の中で出てきたものです。経営者のワクワクを、数字と戦略で支える。それが私の仕事の喜びです。
まとめ
経営計画は、方針と数字の両輪がそろって、はじめて計画になります。
方針とは、戦略と戦術です。何を捨て、何を生かすか。何に尖っていくかを決めます。
前提にあるのは、社長がこの世で何をしたいのか、何をもって貢献したいのかです。
作ったあとは、毎月、計画と実績を比べます。
当事務所では、経営計画の作成と、毎月の数字の確認を一緒に行う未来会計コンサルティングを行っています。「計画を作りたいが、何から始めればよいか分からない」という方は、当事務所の無料相談をご利用ください。
この記事は、一般的な考え方の説明です。進め方は、事業の内容や会社の状況によって変わります。
この記事は、2025年5月30日に Facebook へ投稿した内容をもとに、ブログ用に書き直したものです。
この記事を書いた人
松本 裕之(税理士)
松本裕之税理士事務所(広島市中区)代表。中国税理士会所属、税理士登録番号 第104810号。一般社団法人融資コンサルタント協会認定 SP融資コンサルタント。2006年に税理士登録、2013年に開業。税務顧問のほか、月次決算と経営計画、融資支援、国際税務、事業承継を扱っています。

